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出会い

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出会い

 ハクと名付けたワンを最初に見かけたのは、2月の下旬。当時のバイト先への通勤路、三重県伊賀市霧生の里を過ぎてからリゾートホテルへ行く林道だった。

 見かけたときはまだ汚れてもいず真っ白なかわいいワンで、首輪のようなものがついていたので、一人で散歩しているのかと思った。それがほぼ毎日見かけるようになり、捨てられたのか、脱走してきたのかと、飼い主とはぐれたのか、車に轢かれなければいいのにと日に日に気がかり。

 車が来ると、賢く山側に逃げ、車が通り過ぎるのを待っている様子なので「賢いワン」やと思っていた。
 見かけなくなると、ああ誰かに拾ってもらったのかなと希望的観測。しかし数日後に再び見かけた時は肋骨が浮き出て、白かった毛も薄汚れて不憫だった。

 そして、1ヶ月ほどかけて、とうとうリゾートホテルにやってきてしまった。どういうわけか男子トイレから出てきたハクに女子トイレから出てきた私が出くわした。喋りかけたら、ハクは後じさりした。人がコワイようだ。後じさりしながらこちらを見ているハクに「いい人にもらわれますように」と声をかけ、パンパンと柏手を打って職場に戻った。
 また翌日に出会った。雨が降っていたので傘を持っていたが、ハクは傘をさそうとした私を怖がった。誰かに棒で叩かれたことがあるのだろうか。

 ホテルという場所柄、保健所に通報されたと聞き、収容車が来る時は、知らない振りができず、車に乗せられるところまでつきあって見てしまった。その日は3月26日。

 ハクは檻に入れられ、覆いをかけられた。

 その時点でもまだ私は迷っていた。

 車に背を向け、引き取るのは難しい。「このことは忘れよう」と思ったら涙がボロボロ出てきた。

 家には凛太郎(ミニチュアダックス)がいるし、犬の家族が増えたらお金もかかるしと、ココロの中は葛藤でいっぱい。でもここで見捨てたら、見捨てたという自分を一生忘れられないと思った。

 数年前、パートへの通勤路で国道を危なげな足取りでヨロヨロと走っている犬がいた。「危ないなー。捨てられて家に戻ろうとしているのかなー」と思いながら職場に急いだ。
 当時は宅配のパートをしていたので、荷物を積んで配達に向かったら、その犬は国道で轢かれて横たわっていた。見かけてから1時間もたっていなかった。

 あの光景は忘れられない。どうにかできたかもしれないのに何もしてやらなかった。もしその光景を見なかったら何も思わずにすんだかもしれない。でも見てしまい心も傷んだ。
 今回はそういう思いをしたくないという思いが勝ってしまった。

 保健所の係の人に「引き取ります」と言った。

 覆いがはずされたらハクは落ち着いていた。覆いのかけられた檻は、何も知らないハクにとってはやっと落ち着けた場所になったのかもしれない。

 私は犬が危険とかそういうことは何も考えずに檻の上蓋を開けてもらい抱いてやった。抵抗なく大人しく抱かれたハクを見て保健所の人が驚いていた。
 ハクはめっちゃくちゃ臭かった。着ていたものにもすぐにニオイが付着。マジ臭い。

 犬は落とし物扱いになるそうで、警察署に届けてくれと保健所のお兄さんに言われた。

 仕事が終わるまでハクを車に入れて待たせた。その駐車場に行くまでに抱いたハクを一度地面に降ろしたら、すぐにお腹を見せた。服従の姿か?
 車は軽の箱バンで後部の荷物置き場にダンボールを敷き、その上にハクを乗せた。ドアを開けた時の安全策として、ロープで首が締まらないよう、抜けないように首輪にし、逃げても紐をすぐに持てるようにしておいた。水も入れておいた。

 昼休みに見に行ったら大人しくしていた。しかし、帰る時には後部座席まで移動していた。よく見ると全部の席に毛がついていたので、ひとあたり移動した様子だ。おまけにロープは噛み切ってあった。

 ひょっとして、放浪の原因は自分で逃げてきた?

 帰路はガソリンスタンド→警察署→動物病院というコースを組んだ。

 先ず残り少ないガソリンを補充し、隣町の警察署まで足を伸ばし、落とし物の手続きをした。ハクは大人しく窓外の風景を見ていたので、車なれしているのかと思っていたが、緊張していただけかも。涎を垂らし始めたころに動物病院に着いた。何か病気があるのだろうか。お医者さんに聞いたら「車酔い」したらしい。

 少しだけ順番を待って、健康診断をしてもらった。血液検査の結果、幸いフィラリアには感染していなかったが、診察台の上でダニだらけというのが見ただけでわかり、即フロントラインの塗布。検便では駆除しなければ生命にかかわるという寄生虫が発見され、注射に駆除薬。

 検便の時、ハクは車酔いでフラフラだったのが原因か、便をとるための体温計のような棒を肛門に入れられた後、お尻をあげたままの状態で、その姿をくずすことなく、いわゆる凍結状態。
 前足を伸ばしきり前半身は低く、後ろ足はたったままの状態。そのまんまでずっとじっとしているから可笑しくて可笑しくて。

 駆除薬は1粒1300円もして、それが2粒。血液検査に検便に注射。諭吉さん1.5枚。
その帰りにホームセンターに寄って、エサ箱、水入れ、餌、首輪を購入。お医者さんと合わせて諭吉さんが2枚飛んでいった。覚悟はしていたが、財布淋しい~~。

 ノミ、ダニは車にも落ちているだろうから、凛太郎にもノミ、ダニが移る可能性が大ということで、凛太郎も帰宅後即フロントライン。

 だいたい10日ほどで、お腹の虫はいなくなるそうなので、その間は凛太郎がハクのお尻を舐めたりしないように隔離しておくことが大事ということだった。
 凛太郎の2つあるサークルの1つにハクを入れた。すぐに洗いたいほど臭かったけど、フロントラインを塗布したから、お風呂は少し我慢。

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